お知らせ 2016.08.23
つつじ・しゃくなげフェア2016 俳句募集「受賞作品」
山のホテルの「つつじ」を兼題に俳句を募集しました。
箱根でも屈指のロケーションを誇る岩崎小彌太男爵の別邸跡に建ち、いまなお当時の面影を色濃く残す「山のホテル」。男爵の「粋」や「ホスピタリティ」を受け継ぎ、皆様に見守られ続けて今日に至ります。
高浜虚子に俳句を学び、自らも「巨陶」の俳号で句集を出す程であった岩崎小彌太男爵にちなみ、昨年ご好評でした俳句を今年も募集し、全国各地からハガキやインターネットを通じてたくさんのご応募をいただきました。
選者に中原 道夫氏を迎え、厳正な選考の結果、最優秀賞、優秀賞、佳作を発表いたします。
受賞作品・選評
一生に一度、身を焦がすような恋をしたい、と女性は仰る。身も世もない、自分の身のことも、世間体も考えずに、となったらどんなことになるか。燃え立つような“つつじ”に恋はいかがと嗾けられても、そうは問屋が卸さない。理性というものに縛られている限り。女心をくすぐるような書き方もこころ憎い。
球子とは日本画家片岡球子のこと。割合晩年になって開花した人で、「面構」シリーズなどは武骨ながらエネルギッシュな作風を展開した。富士も好んで描いたところから、この作者は咄嗟に球子の色遣いを思ったようだ。
つつじの憂いなのか、作者自身の憂いなのか不明だが、鮮やかなつつじを見ていると、くよくよ考えごとをしていても、つまらなく思えて来る。つつじは前向きの花、パワーを戴ける花のようだ。
日中ホテルのつつじを心ゆくまで堪能、夜は夜でディナーを堪能、眼福と口福を味わったのだろう。眼裏に焼き付けたつつじで火照って眠れなかったとしたら… それもまたいい思い出になろう。
中原 道夫プロフィール
1951年 | 新潟県新潟市和納(旧岩室村)に生まれる |
1974年 | 多摩美術大学卒業 |
1982年 | 句誌『沖』へ投句を始める |
1984年 | 第12 回沖新人賞受賞、同人となる |
1990年 | 第一句集『蕩児』(富士見書房)により第13回俳人協会新人賞受賞 |
1994年 | 第二句集『顱頂』(角川書店)により第33回俳人協会賞受賞 |
1998年 | 俳句誌「銀化」主宰 |
句集に「アルデンテ」「銀化」「歴草」「中原道夫俳句日記」「不覚」「巴芹」「中原道夫作品集成Ⅰ、Ⅱ」「天鼠(てんそ)」等。英訳 句集「蝶意」。
現在、新潟日報俳句欄選者、NHK-BS俳句王国選者、日本文藝家協会会員、俳人協会幹事などを務める。
TV番組では、「今日の料理」「男の食彩」「新・日曜美術館」「俳句紀行五-七-五」「BS俳句吟行会」「BS俳句スペシャル列島横断市民俳句大会」(以上 NHK)、「タモリのジャングルTV」「ジャポニカ・ロゴス」など多数に出演。
2009年4月から「NHKラジオ深夜便」一年間担当。
ツツジを守ることがホテルの誇り。今年も爛漫と花を咲かせて。
雪や老齢のせいで枯れてしまったものを補うために補植が必要になることもあります。けれど、ツツジは環境が変わると、なかなか根づかず、しっかり根づくの は1割程度。しかも、樹齢70〜80年のものを万一枯らしてしまったら、元の姿に戻るまでに70〜80年かけなくてはなりません。男爵別邸時代から受け継 いだツツジを守ることはホテルの使命として、愛情をもって日々世話しています。